彼と彼女の花いちもんめ~意地悪王子の包囲網~
同じ苗字でも
そうー。
あたしの大好きな南野さんが恋をしたのは、あたしと同じ苗字の仁科みちるさんだったのだ。
入社式以降、彼と仲良くなるチャンスを狙っていたあたしは、営業部に顔を出すように根回しをして、南野さんとお近づきになったある日、意を決して彼の机に手紙を置いた。
彼に思いを告げるための呼び出しレター。
けれど、それを見た南野さんは、みちるさんが自分を呼び出す為の手紙だと勘違いしていた。
約束の時間に食堂に現れたあたしを見た彼は、他に好きな人がいる、と素直に話してくれた。
それから、彼の行動を逐一監視チェックしていたあたしは、みちるさんの存在を知り、
てっきり彼女もあたしと同じように、南野さんに言い寄っている迷惑な女の一人なんだと勘違いした。
そして、彼の恋を応援すべく、みちるさんに、彼は迷惑している、身を引いて欲しい、と啖呵を切ったのだ。
あたしのセリフに呆然とするみちるさんの目の前に駆け込んできたのは南野さん。
その時、あたしは全てを悟った。
そして、自分の数々の勘違いと、それによってもたらされた最高のハッピーエンドに死ぬほど恥ずかしくなって、逃げた。
奇しくもあたしは、彼とみちるさんの橋渡しをしてしまったのだ。
「余計なお世話です。あたしがここに来たのは、あたしが失恋したって噂が流されていたら困ると思って、その確認をする為に来ただけですから!」
南野さんは、やっぱり、あたしが恋した南野さんだった。
あたしの大好きな南野さんが恋をしたのは、あたしと同じ苗字の仁科みちるさんだったのだ。
入社式以降、彼と仲良くなるチャンスを狙っていたあたしは、営業部に顔を出すように根回しをして、南野さんとお近づきになったある日、意を決して彼の机に手紙を置いた。
彼に思いを告げるための呼び出しレター。
けれど、それを見た南野さんは、みちるさんが自分を呼び出す為の手紙だと勘違いしていた。
約束の時間に食堂に現れたあたしを見た彼は、他に好きな人がいる、と素直に話してくれた。
それから、彼の行動を逐一監視チェックしていたあたしは、みちるさんの存在を知り、
てっきり彼女もあたしと同じように、南野さんに言い寄っている迷惑な女の一人なんだと勘違いした。
そして、彼の恋を応援すべく、みちるさんに、彼は迷惑している、身を引いて欲しい、と啖呵を切ったのだ。
あたしのセリフに呆然とするみちるさんの目の前に駆け込んできたのは南野さん。
その時、あたしは全てを悟った。
そして、自分の数々の勘違いと、それによってもたらされた最高のハッピーエンドに死ぬほど恥ずかしくなって、逃げた。
奇しくもあたしは、彼とみちるさんの橋渡しをしてしまったのだ。
「余計なお世話です。あたしがここに来たのは、あたしが失恋したって噂が流されていたら困ると思って、その確認をする為に来ただけですから!」
南野さんは、やっぱり、あたしが恋した南野さんだった。