彼と彼女の花いちもんめ~意地悪王子の包囲網~
あたしは簡単に泣いたりしてはいけない。
いついかなる時でも、女性らしく清楚で、美しく。
どこかの歌劇団の校訓のようだが、あたしはそれをモットーとしている。
だから、自分を磨くためには時間も労力も惜しまない。
どんなに疲れていても念入りに肌も体も手入れをする。
そして、極力スカートを履く様に心がけている。
パンツが嫌いというわけではない。
が、こだわりがあった。
身長が思いのほか伸び始めた頃は、スカートを履くことに抵抗を覚えたりもしたが
あたしは、とにかく、可愛い格好がしたいのだ。
だから、今日も無敵の膝丈フレアスカートだ。
それが、裏目に出た。
フレアスカートの裾から見えるようになっているレースが、植木の枝に引っ掛かったのだ。
下手に引っ張るとレースが千切れる。
決してお安くはないブランドのスカートだ。
給料の全てが衣装代と化粧品代に代わっているあたしとしては、決して無碍に扱えない代物。
ふんわり広がったスカートは植木の上に被さるようになっており、うかつに動くことも出来ない。
それでも少しずつスカートを持ち上げて移動していたあたしに、背後から突然声がかかった。
「なーにやってんの?」
聞こえてきたのは異性の声だ。
あたしは迷うことなく笑顔で振り向いた。
「・・・実は、ピアスを植木の中に落としてしまったみたいで・・・」
いついかなる時でも、女性らしく清楚で、美しく。
どこかの歌劇団の校訓のようだが、あたしはそれをモットーとしている。
だから、自分を磨くためには時間も労力も惜しまない。
どんなに疲れていても念入りに肌も体も手入れをする。
そして、極力スカートを履く様に心がけている。
パンツが嫌いというわけではない。
が、こだわりがあった。
身長が思いのほか伸び始めた頃は、スカートを履くことに抵抗を覚えたりもしたが
あたしは、とにかく、可愛い格好がしたいのだ。
だから、今日も無敵の膝丈フレアスカートだ。
それが、裏目に出た。
フレアスカートの裾から見えるようになっているレースが、植木の枝に引っ掛かったのだ。
下手に引っ張るとレースが千切れる。
決してお安くはないブランドのスカートだ。
給料の全てが衣装代と化粧品代に代わっているあたしとしては、決して無碍に扱えない代物。
ふんわり広がったスカートは植木の上に被さるようになっており、うかつに動くことも出来ない。
それでも少しずつスカートを持ち上げて移動していたあたしに、背後から突然声がかかった。
「なーにやってんの?」
聞こえてきたのは異性の声だ。
あたしは迷うことなく笑顔で振り向いた。
「・・・実は、ピアスを植木の中に落としてしまったみたいで・・・」