彼と彼女の花いちもんめ~意地悪王子の包囲網~
「えーっと、見た目とか関係なく、平等に人に接することが出来る、優しい人で。
誠実で、紳士的で、仕事も出来て、周りから好かれるような・・・素敵な人?」

「普通にそういう人、沢山いるし、見た目関係なくって、仁科さんが言っても、全く説得力無いわよ」

「そうそう。男は美人に弱いもん。だから、仁科ちゃんも、自分の美しさを武器と思ってがんがん行けばいいのに」

「でも、太ってても、美人じゃなくても、心の優しい素敵な女の子だっているでしょ!?
そういう人を、ちゃんと見つけてくれる人がいいんですっ」

豪語するあたしに、松井さんと今村さんが顔を見合わせて肩を竦める。

「そりゃあ、そうだといいけど。実際には見た目が8割だから」

「ちょっとでも綺麗な方がいいでしょ」

「そうですけど・・」

「だからー、あんたがそれ言っても無駄。あたしらだからいいけど、他の女子が聞いたら気を悪くするからね!」

松井さんがきっぱり言い切る。
あたしは小さく頷いた。

まさかここで、あの闇歴史を紐解くわけにもいかない。

今の自分は、暗黒時代を乗り越えた、努力の塊なんです!とか言いたいけど、言えない。

「で、柿谷さんは、紳士的じゃーないかもしれないけど、恋愛の楽しさは教えてくれると思うけど?」

今村さんが楽しそうに言った。
女の子で良かったと思わせてくれそう、だと。
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