君と計る距離のその先は…
「薬……っていうのは飲んだ後に酒っていいのか?」
「どうなんでしょう。
いつもなら飲んじゃいますけど、、。
叱られましたね。橘さんに。」
「やめよう。禁酒だ。俺も今はやめてる。
酒を飲むと気持ちが大きくなるから失敗……ごめん。
俺が言える立場じゃないな。」
「水でいいか?」と言いながらグラスを2つ手にした橘さんがキッチンから続いている部屋へと移動した。
その橘さんの後へと私も続く。
ローテーブルのある部屋は橘さんらしいスッキリと無駄なものがない部屋。
つけたままだったテレビを消して、橘さんはクッションを置いてくれた場所を勧めた。
いいなぁ。
他に部屋があるんだろうな。
ベッドがないだけで部屋はスッキリしていて、私のアパートと同じくらいでも広く感じる。
橘さんは自分の定位置だろう場所にあった座椅子に腰を下ろした。
それを見て、勧めてくれたクッションを移動して、橘さんの隣に来るように並べ直した。
「……そっか。並んで座りたいよな。
悪い。気づかなくて。」
私は首を横に振ってそっと座った。
向かい合わせに座るように置くのが普通だと思う。
でも私は人の視線が苦手だ。
そのことを話してある橘さんには1から説明しなくていいのは、少しだけ気が楽だった。