君と計る距離のその先は…
橘side:如月という男

 こんなことして何になるのか。
 さっきから同じ場所を行ったり来たりしている。

『如月こころのクリニック』

 真野が鞄から出した薬の袋に書かれた病院の名前。
 そして、薬のことをネットで調べたらしい真野の様子がおかしくなった。

 チラッと見えた錠剤の裏面に印字された薬の名称。
 真野が「やっぱり今日は帰ります。すみません」と帰った後に調べてみた。

 だからってなんだというのか。
 俺がこんなことをしていい間柄じゃないのは百も承知だ。

 時計を確認すると予約した時間が迫っていた。
 勢いで予約した病院。
 行って、どうするのか。

 考えがまとまらないまま病院へと足を踏み入れた。

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