君と計る距離のその先は…

 すぐに橘さんから返信があった。

『いいって。
 強い薬を飲むと反動がその分つらいんじゃないのか?
 と、いうより今、普通にメールをくれることが俺は嬉しいくらいだ。』

 メールが、嬉しいって……。

 高鳴りそうな胸を押さえて『嬉しいって何が……』と返信した。

『資料室の時みたいに拒否されるって覚悟しつつ送ったからな。
 俺の心臓、ノミの心臓だわ。』

 苦笑している橘さんが目に浮かぶようで笑みをこぼした。

『強面で体も大きいのに。』

『俺も自分の心臓は鋼の心臓だって思ってた。』

 不思議。
 不安な気持ちが嘘みたいにほどけていく。

 いつもの薬は飲んだ。
 それは偽薬で薬じゃなかったのだけど癖というよりも飲まないと!という強迫観念みたいなもので飲んだ。

 だから、なのかな。
 緩やかに効いたのかもしれない。薬が。

 もしかしたら偽薬というのが何かの間違いで微量に何か効くものが入っているのかも。


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