君と計る距離のその先は…

 如月先生は芝居掛かった表情で驚いてみせてハハッと軽い笑いを吐いた。

「そういうつもりはありませんでしたね。
 予定では前回……前々回ですね。
 月に1回ペースになっていた真野さんには次のタイミングでお話しするつもりでした。」

 私が如月先生を信じて何事もなく、治療に足踏みすることなく過ごしていれば、如月先生から適切な説明を受けられたようだ。

「これでもまだ、あの先輩と関わっていくつもりですか?」

 橘さんのせいで治療方針が狂ってしまったと言いたげに聞こえる。

 急にあった橘さんからのアプローチ。
 今、思うと突然キスされたことが遠い昔のように思えた。

 如月先生の言いたいことは分からないでもない。
 橘さんの行動に翻弄されて平常心を保てない日々を過ごすことが増えた。

 だからって………。

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