君と計る距離のその先は…

 如月先生とは今後の治療方針について話した。
 けれど、上の空で言われるがままにこれまでと変わらない処方を受けた。

「次は二週間後に。」

 そう言われ、病院を後にした。

 如月先生を信頼していたのに、今は不信感が拭いきれない。

 だからって、橘さんにもたれかかっていいということにはならない。
 橘さんの優しさに頼ってしまった自分を反省していた。

 寄せては返す波のように橘さんのことを知りたいと思う反面、彼に近づいてはいけないと思う。

 帰り際、私の心を読んだように「原因をよく思い出してくださいね」と釘を刺された。

 原因……か。
 忘れてるわけじゃないんだけどな。

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