君と計る距離のその先は…
「ほら。ちゃんと布団かぶって」と、お母さんみたいなことを言う橘さんにほっこりしつつ、並んで同じ布団に入った。
「くっつきたかったら、くっついてきてもいいけど?」
心を読んだような発言にコクリと頭を動かして、おずおずと橘さんに近づいた。
「足、冷たっ。
寒いか?もっとくっつけよ。」
暖かい体にくっつくと安心できてまぶたが自然と下がってくる。
「風呂、良かったのか?
本当は化粧も落としたかったろ?」
「ん……それより、橘さんと、、離れたくない……。」
「………ッ。無自覚なのがタチ悪いし。
で、寝てるっていう……。
俺、寝られるのかな。」
橘さんの苦悩は知らないまま、私は暖かなぬくもりに包まれて穏やかな眠りについた。