君と計る距離のその先は…
「ほら、真野も言って。」
促されておずおずと口を開いた。
「好き、です。橘さんの、こと。」
気づいてからは幾度となく思っていた想いなのに口に出すと胸が苦しくなって顔が熱くなるのを感じた。
未だに震える口元へもう一度橘さんの唇が重ねられた。
何度も、何度も、何度も。
息が吸えなくて、胸が苦しくて、橘さんをたたいて訴える。
「た、ちばなさん。私の、ペース、は?」
「ん…悪い。フッ…息継ぎの練習からか?」
「もう!」
柔らかく笑う橘さんは悪戯っぽい笑みを浮かべると「今まで散々待ったんだ。今さら少し待つくらい……」と言いながらも、文句を訴えてたたく私の手を取って手の平にキスをする。
どこにこんな色気を隠していたんだろうって思うくらいの甘い視線を向けられて橘さんの色気に当てられておかしくなってしまいそうだ。
真っ直ぐに見つめた橘さんは私へ改めて質問した。
「真野、俺と付き合ってくれる?」
真っ直ぐな視線が恥ずかしくて私は俯いて、コクリと頷くことが精一杯だった。
それでも橘さんは「うん。良かった。これからも大切にするから」と抱きしめてくれた。