君と計る距離のその先は…
「遅くなっちゃったし。
もう寝ようか。」
今までも何日も一緒に眠っていたのに、改めて言われて頭を左右に振る私に橘さんは笑う。
「大丈夫。まだ何もしないよ。」
「ま、だ?」
「そのうち、そのうちね。」
意味深な笑みを浮かべる橘さんは私を抱き上げて有無を言わさず寝室へと連れて行く。
「一緒に暮らさない?
いちいち真野が帰るのが寂しい。」
可愛いことを口にする橘さんにギュッとしがみついて「心の準備が済んだらお願いします」と小さく言った。
「真野の準備を待ちたいところだけど、住むのは決定。
明日、ラブソファ買いに行くから。」
「え、だって、待ってください。」
「真野、本当に嫌な時は頑なに断るから、一緒にいたい気持ちはあるんだろ?」
なんだか全て読まれてる気がして、敵わない心持ちになる。
「ソファの名前にふさわしいくらいソファでイチャイチャしよう。」
「……ッ。しません!」