君と計る距離のその先は…
「おーい。真野ちゃん?」
「あ、すみません。
また私、ぼーっとしてました?」
顔を見合わせてクスクス笑う上川さんと永野さんに目を白黒させて質問を向ける。
「そ、そんなに笑われるほど、変な顔してました?」
「本当、可愛い。
橘がハマるのも分かるわ〜。」
「上川さん!からかわないでください。」
まだまだ『橘』という名前を出されると顔が熱くなって恥ずかしい。
そうと分かってて話すんだから。
不貞腐れつつも楽しい時間に幸せを感じる。
だから、私は勇気を振り絞って2人にお伺いを立てた。
「あの。前から気になる人がいて……。」
「え?橘じゃなくて?」
「シッ。こんな面白い話!
橘に聞かれないようにしてよ。」
2人は何か勘違いをして期待の眼差しを向ける。
私は両手を振って間違いを訂正した。