君と計る距離のその先は…
「ん…………。!!!!!」
目が覚めると目の前に橘さんの素肌があって仰け反った。
めくれ上がったシャツからのぞくしなやかな筋肉。
橘さんからは規則正しい息遣いが聞こえて、まだ眠っているみたいだ。
寝てることに何故だか安堵して、盗み見るように手で顔を覆った指の隙間から覗いた。
未だに目がチカチカするものの、どうしてか今は触れてみたい気持ちの方がまさって綺麗な腹筋にそっと手を伸ばした。
うわぁ。
私のたるんたるんなお腹とは全然違う……。
おずおずと触れた腹筋にドギマギしながらも、そっと筋肉に沿ってなぞるように触れた。
「ん……。
……………ッ。ちょ、待っ。」
ビクリと体を揺らした橘さんにこちらの方が驚いて慌てふためいてしまう。
「ご、ごめんなさい!
くすぐったかったですよね。」
慌てて手を引っ込めると顔に手を当てた橘さんが今までにないくらい動揺していた。
さっきは冗談で「触ってみる?」って言ってたのに。
「いや、うん、まぁそう、と、いうか。
うん。そう。うん。まずいから。」
「触れちゃダメでした?」
「いや、そうじゃ、ないけど。」
言葉を濁す橘さんに取り繕うように私は言い訳を口にした。