君と計る距離のその先は…
「真野?」
「はい。」
「もう少しイチャついちゃダメ?」
フルフルと頭を左右に動かして意思表示すると笑われた。
「じゃ何もしないからもっと側に来て。」
ムムッと警戒していると笑われて抱き寄せられた。
「じゃ真野が触る?
今度はちゃんと気を張っておくから。」
「気を張るって……。」
「そこ真野が聞く?」
「だって。」
「好きな女にあんな風に触られて………。
いや、なんでもない。」
触ることなんて出来なくて、おずおずと胸に顔をうずめると息を吐いた橘さんが思いもよらないことを口にした。
「今日の真野、おかしかったろ。」
「おかし、かったですか?」
顔を上げると橘さんの顔がすぐ近くにあった。
さっきまでふざけていたかと思えば急に真剣な顔をして私の全てを見透かしているようなことを言う。
「たまに消えそうに思えて不安になる。
って、俺、こんなに心配性じゃなかったのにな。
真野は俺をおかしくさせるんだ。」
切なくなるような声を聞いて堪らなくなって私は心の内をこぼした。
「消えそうというか、、。
消えたいとは、時々思いました。」