君と計る距離のその先は…
「寂しくなること言うなよ。
だから、、真野のこと確認したくなって余計に触れたくなる。
ってちょっと言い訳が過ぎるな。」
私の所在を確認するみたいに橘さんは私の頬を撫でた。
私はその手に自分の両手を添えて頬を寄せる。
そうかもしれない。
だから私も……触れたかったのかな。
「今まで客観的に橘さんを見ることがなくて、今日、あぁ橘さんってかっこいいなぁって改めて思ったら、なんだか………。」
「……ッ。なんだよ。それ。
褒めるならもっと言っていいぞ。」
茶化すように言った橘さんはもう片方の頬にも手を添えて、そっとキスをした。
「……キス魔。」
フッと息を漏らした橘さんが「それだけ真野が可愛いんだよ」と言ってもう一度キスをする。
「客観的に見る必要ある?」
「え?」
「俺は真野の主観で見て、真野が惚れるような男でいられてるなら、それでいい。」
私が橘さんを見上げると「ん?」と首を傾げた。
分かってて言ってるのかなぁと思うと、なんだか悔しくて、でも嬉しい方が多いのかもしれない。
橘さんと歩く人通りの多い道は困難ばかりが待ち受けていた。
たくさんの振り返る人達。
漏れ聞こえる「今の人、カッコイイ!」
自分が橘さんの隣にいることが申し訳なく思えて、けれどそれを橘さんに訴えるのは何かが違うってことくらい私にも分かる。
けど、けどさ。