君と計る距離のその先は…

「橘さんだって、女の子からちやほやされたら嬉しいでしょ?」

 私の質問に面食らったような顔をしてククッと笑う。

「いや。100人からの『橘さんカッコイイ!』より、真野の『素敵です』の方が嬉しい。」

 橘さんは微笑んで催促した。

「ほら。今日の俺、どうだった?」

「それは………その、、。
 素敵でしたよ?」

「なんだよ。その取ってつけたような『素敵でしたよ』は。」

 むくれる橘さんに吹き出すとますます橘さんをむくれさせた。

「だって。
 主観で言うんですよね?
 その……私服、初めて見たのでドキドキしました。
 ニットが似合ってて、それなのに脱ぐ時の仕草が一番ドキドキして、その、後は宝石店で店員さんへの対応が堂々としているところに実は見惚れていました。」

 顔を綻ばせた橘さんは私をギューッと抱きしめて「やっと真野がここにいるって実感した気がするわ」と言った。

 そこから?と苦笑したけど、そこまで心許ない顔してたのかな、私。と、思って申し訳ない気持ちになった。

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