君と計る距離のその先は…

「店員への態度とか、そんなとこ見るんだな。」

「それは、私、そういうのが苦手なのですごいなぁって思います、よ?」

「そっか。
 あと、一番グッと来たのはニットのことか。
 脱ぐ仕草にドキドキしたって、案外真野もエロいなんだな。」

「そ、そんなんじゃ、ありません!」

「不意打ちで触られても大丈夫なように鍛えておかなきゃな。」

 無造作にシャツを捲り上げてお腹から胸辺りを撫でる橘さんを見ていられない。

「た、橘さん。」

「んっとに真野は可愛いな。」

 顔を背けた私を後ろから抱きしめた。

「た、橘さん。後ろ向き、嫌………。」

 後ろから抱きしめられるのはすごくドキドキするし、それに橘さんにしがみつけなくて心許ない気持ちになる。
 私も橘さんに……触れたい。

「少しだけ、、。このままで聞いて。」

 耳元に甘く囁かれて小さくコクリと頷いた。

「ずっと、このまま俺の側にいて欲しい。
 それでいつか、俺と真野との距離がなくなるように、、、。
 出来るだけ待つから。俺。
 だから、、。」

 今だって2人の間に距離なんてないけど、きっとそういうことじゃない。
 私はドキドキしつつも、腕を回す橘さんのその腕にしがみつくようにして口を開いた。

「橘さんとなら……って思って、ますよ?
 だから、その、。」

「あぁ。うん。そっか。うん。」

 確かめるようにそう言って、回している腕に力が入ってギュッと抱きしめられた。
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