君と計る距離のその先は…
手に握ったままだった携帯がメールの受信を告げ、視線を携帯へ落とした。
『何時に起こしたらよろしいですか?』
若干の他人行儀な文言にフッと笑みをこぼした。
気乗りしてないのがバレバレだ。
気乗りしてないだろうけど、そこには触れずメールを返信する。
『俺がかけるよ。
真野から電話をもらえたら嬉しいだろうけど、寝ボケて取り返しのつかないことを口にしたらシャレにならん。』
このメールにはすぐに返事があった。
それを読んでハハッと笑う。
『俄然、かけたくなってきました。
モーニングコール』
俺にとって真野は空想の世界から飛び出してきたって思うくらい想い続けてきた奴で、その真野がノリで、だとしても、俺へ「モーニングコールしたい」と言われれば顔が緩んでしまうのは仕方のないことだ。
『男の沽券にかかわる。』
『それは一大事ですね。』
『あぁだから頼む。』
『分かりました。
では6時頃にお願いします。』
『了解』