君と計る距離のその先は…

 ショートカットがとてもよく似合っている。
 美しく、物腰の柔らかな美人さんではあるけれど、紛れもなく男性だ。

 初診時に「もしかして男性ですか?」と確認したら笑われてしまった。
 見た目は綺麗系の女性なのに声は男性そのものだった。

 私は如月先生の美しさに見惚れそうになりつつ、近状を報告した。

「それが…。
 薬が無くなってしまいそうで。」

 パソコンの画面には私の通院履歴や、投薬履歴が表示されており、それらに目を通していた彼が手を止めた。

「せっかくよくなってきていたのに。
 しょうがない子ですね。」

 微笑んでそう言われれば、治らなくてもずっとこの医院に通えればいい!って思ってしまいそうな錯覚に陥る。
 片思いの相手をずっと思い続けていたいようなそんな錯覚。

 けれど、それはダメ。

 投薬履歴を詳しく確認する如月先生は「もしもの為に前回は予備も処方したはずですね」と呟いている。

 パソコンの画面から私へ視線を移すと私に問いかけた。

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