君と計る距離のその先は…
「何か、自分で心当たりがありますか?
不安になることとかがあって薬を飲む回数が増えてしまったのかな?」
私は正直に胸の内を明かした。
ここでの隠し事は必要ない。
そこまでの信頼関係を築くまでに何ヶ月もかかって、その間も辛抱強く如月先生は対応してくださった。
「職場の飲み会と、それに会社の人に誘われて飲みに行ったので。」
「そう。それで。」
考えるような素振りをして、それから的確な質問をされた。
「その誘われた人はもしかして真野さんが苦手な人なんじゃないですか?」
「どうしてそれを?」
「なんとなくですよ。」
目を細めて微笑まれて、やっぱり如月先生には敵わないや。と、感服する思いで私は頷いた。
「そうです。」
「しかも、もしかしたら前に話してくれたすごく苦手な男性の先輩?」
「え、えぇ。そうです。」
そこから私はここ数日に起こった出来事を全て話した。
さすがに突然キスされたことは言えなかったけれど、アプローチされていることまでは如月先生へ正直に話した。