君と計る距離のその先は…

 恨めしい気持ちでいると、宮崎さんは飲み会での発言を持ち出した。

「そうだよね。
 飲み会で橘より俺の方がいいって真野さん言ってたよね。」

 それは言ったけど…。

「宮崎さんの『可愛い』は『おはよう』と同じ温度なので。」

「ハハッ。案外、見てるんだね。
 まぁ橘は確かに必死さが伝わるよな。」

 必死というか、心の声がこぼれ落ちている感じが伝わるというか。

 宮崎さんの可愛いはやっぱり挨拶と同レベルで。
 その差を感じ取ってるんだと思う。

「面白いね。真野さんって。」

 私は何も面白いことは言っていない。
 ただ、宮崎さんは橘さんがちょっかいをかける私に興味があるだけだ。

「また食事に付き合ってよ。」

「えっと、はい。時間が合えば。」

「橘と3人でもいいな。」

「さ、3人ですか?」

「何?何か都合でも悪い?」

「いえ、そういうわけじゃ。」

 口ごもると笑われた。
 完全にからかわれて遊ばれてる。

「今は橘が一歩リードかな?」

 意味深にウィンクをされてドキリとした。

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