君と計る距離のその先は…

「真野さんから誘ってくれないと俺が奢るばかりになっちゃうね。
 借りを作ったままでいいのかな。」

 意地悪いことをわざと言ってみせた。

「あの、やっぱり払います。」

「それはダメ。」

「…じゃ、お誘いします。」

「誘ってくれるの?」

 ちょろいな。

「はい。宮崎さんのファンの子を連れて来てもいいですか?」

 ハハッ。そう来るか。
 俺はわざと甘い雰囲気を醸し出して囁くように言った。

「俺は真野さんと2人がいいな。」

「私の友達、すっごく可愛いですよ?
 一緒に食事しておけば良かったって後で後悔しても知らないですよ?」

「それは興味あるかもな。」

 俺って上手くあしらわれてる?
 かわされてる?

「じゃ次はそうしましょう。
 これ。」

「何?飴?」

 鞄から出したものを手渡されて手の中に転がった。
 意味がよく分からなくて真野さんと飴を見比べた。

 女の子とキスしたくてミントタブレットを渡したことはあるけど、さすがに真野さんは違うよな。

 真野さんは真面目くさった顔で説明した。

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