君と計る距離のその先は…
私の動揺と同時期に電話の向こう側で何か大きな音がして、橘さんの「イッテー」といううめき声が聞こえた。
「イテテ。あれ。朝?
真野に電話、あれ、携帯。
あぁ、ん?え。あれ。真野?」
「はい。おはようございます。」
「あぁ。俺、いつの間に真野に電話した?」
「え?それは内緒です。」
クスクス笑う私に橘さんは文句を言うどころか「いい夢見たなぁ」なんて呟いている。
「どんな夢ですか?」
「内緒。」
うん。私も聞かない方がいいと思う。
聞いたらまた赤面しなきゃいけないと思うから。
電話を切るとすぐにメールが届いた。
それを見てフッと笑みをこぼす。
これで昨日のことが少しだけチャラになった気がした。