君と計る距離のその先は…

『会おうか。』

『会いません。』

 橘さんのアホ面は見たいとは思ったけど!

『なんなら泊まりに来いよ。
 モーニングコールが不要になる。』

『泊まりません!』

『俺から手は出さないのに?』

『そういう問題?』

『違うの?』

 橘さんとのやり取りは日に日に深みにハマっている気がする。
 ふざけあったやり取りがフランクで楽しいなんて思ってる。

『真野はさ。頑張ってるよな。』

『なんですか。急に。』

 橘さんに褒められるようなことは何もしていない。
 仕事は極力、橘さんの仕事はしないようにしているし。

 ……今度は、橘さんの仕事に手を挙げてみてもいいかもしれない。

『前に飴もらった話したろ。
 確か2年くらい前だ。
 そこから随分、みんなに馴染んでる。
 頑張ってるっていうのも変か。
 真野の人柄の良さが出てきたお陰だな。』

 この人はどうしてこうも恥ずかしげもなく惜しみなく褒めるんだろう。
 普段の物言いといい、行動といい、本心で言ってくれているんだって思わざるを得ない。
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