君と計る距離のその先は…

 俺に向けている手の平へ軽いジャブをお見舞いしてから、健太の頭をガシガシかくと肩を組んで引き寄せた。

「痛い!痛いです!
 もー、大丈夫っすか?
 女の子にも同じ扱いをしそうで橘さん、心配なんっすよね〜。」

 女の子にも、同じ…かぁ。

 つい数日前に背後から真野を抱きしめたことを思い出す。

 見た目よりも小さく感じた真野は俺の腕なんかで乱暴に抱きしめたら壊れてしまいそうで。
 細くて華奢な体にそっと腕を回した。

 シャンプーなのか、ほのかに甘いいい香りがして……。

 緩みそうな口元は真野の送ってきた『早く嫌いになってください』の一文が思い出されると固く引き結ばれた。
 その一言は苦々しく心を支配する。

 俺より宮崎を選ばれた時よりも抉られたなぁ。
 昨日はその宮崎と2人で食事に行ったみたいだしな。

 腕組みをして、外を眺めてみてもいい解決策がひらめくことはなかった。

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