君と計る距離のその先は…
橘side:きっかけ
恋人と別れたっていうのは本当だったらしい。
密かに想い続けた真野のフリー発言。
しかし少し急いてしまったようだ。
叩かれた頬が痛い。
喉に流し込むビールが心なしか苦く感じる。
「真野さんお前より俺の方がいいって。」
「うるさい。あっちいってろ。」
同期の宮崎は事あるごとに比べられることが多くて、面倒この上なかった。
そんなのは放っておけばいいのだが、今回ばかりはいただけない。
俺と宮崎ならどっちがいいかというくだらない質問に真野は宮崎を選んだ。
くだらないと思うのに、なんだ、この抉られ感は。
宮崎を選んだ理由に挙げた、優しそうだとか物腰が柔らかいなんて俺には皆無なイメージで。
それでも俺は…。
宮崎は俺の隣で管を巻くことをやめない。
「俺、真野さん狙っちゃおうかな。」
「おい。馬鹿。やめろ。」
面白がって本当にやり兼ねないからタチが悪い。