君と計る距離のその先は…
11.苦手な橘さん
橘さんとのモーニングコール…というよりも朝が苦手らしい橘さんに私が掛けることが続いたある日の午後。
橘さんが誰かと話している声が聞こえてつい物陰に隠れた。
相手は橘さんを慕っている……名字が定かじゃない、健太さんだ。
「橘さん、眠そうですね。
昨日遅かったからですか?」
「いや、どうしても落としたくて。」
会話の合間に、大きな欠伸をしているのが聞こえた。
「落とすって、また真野さんですか?」
「あぁ。他に誰がいるんだ。」
いやいや、だって会社で話す内容じゃない。
それにしても。
もしかして、私とのモーニングコールの為にいつもより早起きしてるの?
そういえば営業の男性社員は取引先との関係で遅くまで残業することも多く、その分、出社を遅めにしている人も多い。
橘さんが今まで何時出社かは把握していなかったけれど、遅めの出勤組だったかもしれない。