君と計る距離のその先は…

 どうやって資料室を出たのか。
 全く思い出せない。
 気が付けばトイレにしゃがみ込んでいて、何かの時の為に持ち歩いていた薬を飲んだらしい。

 機転を利かせて暗闇になった途端にその場で薬を飲めば良かったのに。
 そんな簡単なことも出来ない自分が嫌になる。

 未だ震える脚で立ち上がると鏡には汗と涙でぐちゃぐちゃになった情けない自分が映っていた。

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