君と計る距離のその先は…
朝日が容赦なく照りつける。
わざと朝日を浴びるようにベッドのカーテンを遮光カーテンから遮光の低いものに変えてある。
これは如月先生の勧め。
確かに朝日を浴びるとスッキリと目覚められる気がした。
それでもこんな日は体が怠くて重い。
症状を劇的に抑えてくれる薬は、その分、反動も大きい。
最悪なのは、こういう時に何もやる気が起きないということ。
一緒に服用しても大丈夫ないつもの薬を飲んで、とにかく電話。と、電話の準備をする。
それにはまずネットで予約することから始める。
これも如月先生と練習した行動パターン。
何か起こった時にこうしましょうと、決めておけば不安が少なくなるという認知行動療法。
病院帰りに職場の人に会ったら「本屋さんに寄っていた」と、答えると決めたのもその一つ。
何かしら体調が悪くなったらまず病院を予約すること。
病院に行けば良くなるという気持ちを出来る限り強く持って今度は電話をかける。
片手には事前に録音したボイスレコーダー。
これも如月先生と練習しながら一緒に録音したもの。
普通に電話をする。
これが今の私にどれだけ大変なことか。
だからこその事前に録音したボイスレコーダーなのだ。
それでも電話を持つ手が震えた。