君と計る距離のその先は…
「ものすごくお似合いです。
どうして、その、、。」
口ごもる私の言葉を引き受けて上川さんが続けた。
「どうして別れたかって?」
私が聞きたいことを汲み取ってくれた上川さんが続けて話してくれた。
「そうね……。
あなたへ向ける半分、いいえ、ほんの1/10でも私と付き合っている時に好意を示してくれたら付き合っていられたのにね。」
寂しそうな声色に胸の奥がチクンと痛くなった。
けれど寂しそうと思えたのは一瞬で上川さんはあっけらかんとして私に言った。
「そんな顔しないで。
私達は終わったことなのよ?」
「そうそう。上川は今度、結婚するんだ。
もちろん別の奴と。」
宮崎さんまで加勢して付け加えた。
「そうよ。橘は真野さん以外、眼中にないんだから大丈夫。」
「だ、大丈夫と言われましても……。」
「真野さんは橘が子どもっぽいからって理由で振られてきたって言われたらしくて。
それを気にしてるんだよ。」
私をからかうような視線を送ってから上川さんに催促するように顎でしゃくってみせた。
『だから言ってやってよ』と言いたげな宮崎さんに私は居た堪れない。
上川さんは笑っている。