その笑顔、私のモノ
「彩子ちゃん?
僕は彩子ちゃんにしか興味ないし、他の人に何されようが、不快にしか思わないんだよ。」
恥ずかしいくらい真っ直ぐな気持ちを、漣がそう言ったので、私の中のモヤモヤはいつの間にかどこかに行っていた。
「漣…ごめんね…?」
さっき気持ちを吐き出した時に我慢していた涙が、漣の言葉でポロポロと溢れてきた。
そんな私を見て漣は微笑む。
「泣かないで?」
漣が優しく私を包み込んで、頭をポンポンと撫でる。
その優しさに余計涙が止まらなくなってしまう。
漣はそのまま私を抱き上げて、寝室に入り、ベットに私を下ろした。
「彩子ちゃん、目腫れちゃうから泣き止んで寝よう?」
私を落ち着かせるように、いつもより数倍は優しい声でそう言う。
「ん…」
俯きながら、もそもそと布団に潜り込む。
少ししてから、電気を消した漣も私の横に入ってきた。
漣が動く度、ベットが軋む音がする。
いつものように並んで布団に入ったけど、今日は泣いたせいもあるのか、少し寂しかった。
だから、漣の方を向いて、手をギュッと握る。
「ん?どうした?」
漣も私の方を向いて、手を握り返してくれる。
いつもなら、漣が私とイチャイチャしようと近づいて来るのを、私が無視してそのまま寝る。
だけど、今日は…
何も言わない私を見て、漣は私を引き寄せてキスを落としてきた。
“チュッ”と小さく音を立てて唇が離れる。