その笑顔、私のモノ
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目を開けると目の前に、漣の胸板がある。
「気がついた?」
トロンとした目で漣を見る。
「彩子ちゃん…ごめんね。
可愛すぎて理性抑えられなかった…」
少しずつ、状況が分かってくる。
どうやら、私は気を失ってしまったらしい。
漣に腕枕されたまま、30分くらい寝ていたみたいだ。
頭が理解するにつれ、恥ずかしくなる。
漣のキレイな胸板が見えるってことは…
予想が当たって欲しくないと思いながらも、パッと自分の身体をみると、何も身につけていなかった。
パニックになりながらも、とりあえず毛布を手繰り寄せて抱きつく。
「あ、彩子…ちゃん?
そんなことされたら、また我慢できなくなっちゃうよ?
もう1回…いく?」
漣の言葉を聞いて、今、私はやらかしてしまったことに気がつく。
抱きついたのは毛布だと思っていたのに、焦りすぎて、漣に抱きついたらしい。
「わぁぁ…!
ご、ご、ごめん!」
咄嗟に、パッと離れる。
「むしろ、僕は大歓迎だけど?」
漣はいたずらっ子のように笑った。
「う、うるさい!
もう寝る!」
恥ずかしすぎて、今度こそ毛布を手繰り寄せて頭まで被った。
「あはは〜。
おやすみ、彩子ちゃん。」
毛布越しに、頭をポンポンっとして、そのまま抱きしめられた。
いつもなら、離してって言うところだけど、今日はなんだか安心できて、そのまま直ぐに眠りに落ちた。