その笑顔、私のモノ
漣が慌てて出てきたのを確認してから、玄関の鍵をしめる。
すぐ近くにある駐車場に歩いて向かい、漣が運転する車の助っ席に乗り込んだ。
「彩子ちゃん、シートベルトした?
あっ!寒かったらこれ掛けててね〜」
漣は私がシートベルトをしているのを確認して、ふわふわの毛布を手渡してきた。
準備良すぎでしょ…
「あ、ありがと…」
別に寒いわけでも無いけど、一応受け取っておく。
もふもふで気持ちいい…
実はふわふわの物が好きだったりする。
だから、手に取ってから自然と笑顔が溢れた。
「ふふふ〜」
車が出発して、隣にいる漣から変な笑い声が聞こえてきた。
いきなり、なんだろう…と思っていると漣は、嬉しそうに口を開いた。
「彩子ちゃんとデート、久しぶりだね!!
僕の運転する車に、彩子ちゃんが乗ってるっ…!」
デート…漣も楽しみなんだ…。
まぁ、漣から誘ってくれたけど、楽しみなのが私だけじゃなくて良かった。
…そのあとの言葉は聞かなかった事にしよう…。
それだけ聞いたら、普通に変な人にしか思えない。