その笑顔、私のモノ
車に乗って、1時間がたった。
途中で休憩したりしたけど、すでに隣の県に入ってる。
「ねぇ、今日はどこまで行くの?」
いつもは、あそこ行きたい!とかここ行こうとか、行先はわかっていたのに、今回は教えてくれなかったからすごく気になる。
ここまでくる途中でも、どこに行くのか聞いたけど「内緒~」と笑顔で言われてしまったので、それ以上聞かないことにした。
「あと10分くらいでつくよ~」
漣は運転しながら、窓の外をキョロキョロ見ていた私に声をかけた。
この辺は、来たことないから見慣れない景色でなんだかわくわくする。
少しすると、大きな建物が見えてきた。
もしかして…
あの建物は見たことがある。
1年くらい前にできてから話題になって、テレビで流れていた。
オープンしてからずっと予約半年待ちだと聞いたことがある。
「もしかして…あそこ?」
まさか…と思いながらも半信半疑で聞く。
「さすが彩子ちゃん!せいか~い」
漣は満面の笑みで車のハンドルを握りながら、そう言った。
えっ…でも…あそこって…
「予約しないと入れないって聞いたんだけど…」
テレビが放送してたことだから、間違いないはず…。
予約も半年以上前じゃないと、なんだよね…?
もし、半年前に予約してたとしても、今日休みが一緒になるなんてわからない。