その笑顔、私のモノ


まさか…


「それを言うためだけに呼んだわけ?」


そうだったら、仕事中じゃなくて、終わってからにして欲しい。
少し呆れながらも、漣に聞く。


「う、うん…。」


既にテンション落ちていたけど、さらにしゅんとしながら言った。

あ、やばい…

この前この状態のまま仕事に戻ったら、そのあとの仕事ミスばかりしていたっけ…。


「とりあえず、仕事中は絶対にやめてよ!
…帰ってからなら…いいから…」


そっぽを向きながら、私が言うと、漣の顔がパァーっと明るくなった。


「彩子ちゃん、約束ね!」


さっきまでの落ち込みが嘘のように、明るく言った。
はぁ…


「わかったから、仕事戻るよ。」


抱きしめられた拍子に落とした手帳とケータイを拾って、漣を置いて先にオフィスに戻った。

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