その笑顔、私のモノ
「思ってるって言うか…だって、有坂さんと電話してる時楽しそうだったじゃん!
それに、私にしか見せたことのない笑顔を見せてた…遠くから見ても漣、有坂さんのこと大事なんだなって分かったもん!」
こういう時だけ、思ってる事が素直に言葉に出る。
こんな、可愛くないことばかり言っていたら、ちゃんと好きってアピールしてくれる子の所に行きたくなるよね…
自分で言っている言葉にどんどん落ち込んできた。
「彩子ちゃん…じつ「もう、言い訳なんかしないでよ!」」
漣が言い訳しようとした所に私は言葉を重ねた。
言い訳なんか聞きたくない…。
こんなの、私のわがままだけど、言い訳を聞いたら別れようと決めた私の気持ちが揺らいでしまう気がしたから。
「…っ!そ、それにっ!
私のことなら心配しないで。
実は私も漣の他に好きな人が出来たんだ!
幼なじみだけど昔好きで、昨日会ったらまた好きだなぁって思ったの。
だから、私は遥斗の所に行くから、漣は安心して有坂さんの所に行ってきて…」
漣に口を挟む隙を与えないように言った。
言いながらも、必死に涙を堪えている。
だって、全て嘘だから。こんなこと思っていない。
漣のことだって、まだ大好きだ。