その笑顔、私のモノ


「はぁぁ…」


ベッドにダイブして、深いため息をつく。
このまま1週間普通に話せないなんて、耐えられない…
漣は、普通に私と話をしているから、気まづくしているのは私なんだけど。
浮気じゃないと言っているけど、信じていいのか分からないし、それに…なんで1週間待たないといけないのか分からない。
漣は何をしたいんだろう…

私は、不思議に思うばかりだった。


「もう…なんなのよ…漣のばか…っ!」


行き場のない私の思いを、枕にぶつける。
素直になれない自分が嫌になってくる。
だけど、何も教えてくれないのだから、こうして枕にぶつけるしか無いのだった。

そんな時、ドアがノックされた。

コンコンコン…


「彩子ちゃん…?どうかした?」


ドアの外で心配そうな漣の声が聞こえる。


「入るよ?「ダメ…!1人にして!」…分かった…」


返事のない私を心配したのか、漣は部屋に入って来ようとした。
だけど、私はそんな漣に向かって、咄嗟に強い言葉が出た。

“そばにいて”

本当はそう言いたいのに、素直では無い私の口は違う言葉を言う。
私の返事を聞いた漣は、しょんぼりしたように、さっきより声のトーンが下がり悲しそうな声でそう言った。
しばらくは、ドアの前にいる気配がしたけれど、私はそのまま何も言わなかった。

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