その笑顔、私のモノ
「彩子〜、山本さんと何話したの?」
漣に呼ばれたのは、みんなの前だったので、デスクが隣の同期、梓(あずさ)に聞かれた。
ちなみに、この同期は漣のことを目の保養にしているらしい。
彼氏は他にいるから。それも、ラブラブで写真をデスクに飾っているくらいだ。
「ん?さっき出した資料の具体的なことを聞きたかったみたい。」
そんな話はしなかったけど、咄嗟に言い訳を言う。
すると、ちょうど漣が帰ってきた。
「山本さ〜ん。ここ教えて欲しいんですけどぉ〜」
ぶりっ子後輩と有名な有坂さんが大きな声で言っていた。
いつも漣に付きまとっていて、周りからいつも遠巻きに見られている。
「ん?どこ?
あ〜これは…」
漣もわかりやすいように説明しているんだけど…
…近い!!
漣が書類を持ちながら説明している腕に、大きな胸を押し付けている。
絶対…わざとでしょ…
イラッとしながらも、パソコンに向かってカタカタと打ち込む。
ここで私が出ていったら、秘密にしている意味がないから我慢する。