その笑顔、私のモノ


いつの間にか、気配も無くなり、私も眠りに落ちていた。

そして、私達は同棲をしてから初めて、別々に寝た。

今まではどんなに喧嘩しようと、同じベッドで寝ていたのに、漣がその夜ベッドに入ってくることは無かった。
その事が、私をますます不安にさせるとは思ってもみなかっただろう。

朝起きると、隣には誰もいなくて暖かいはずのベッドも冷たかった。


「…漣…」


本当は、私が寝た頃にベッドに入ってくると思っていた。
なのに、来てくれなかった。
今までは来てくれていたのに…。
漣はやっぱり、私の事より、有坂さんが好きなんだ…。
そう、事実を突きつけられたように感じた。

起きたばかりだけれど、無性に悲しくなり、涙が枕を濡らす。
私は、枕に顔を埋めて、声を押し殺すように泣いた。

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