その笑顔、私のモノ
しばらく泣いていると、部屋に突然音が鳴り響いた。
ピリピリ!!
セットしてある、目覚ましの音だ。
いつまでも泣いている場合じゃない。
今日は普通に仕事がある。
こんな私情を挟んだ、欠勤なんて許されるはずがない。
重たい瞼を開けて、のそのそと布団から出た。
物音ひとつしないリビングに向かうと、思っていた通り、誰もいなかった…。
漣は先に行ったんだ…。
顔も合わせずに、行ってしまったことを思うと、さらに悲しくなる。
ポロポロと零れる涙を拭いながら、朝ごはんの置かれているテーブルに向かう。
(おはよう。
食べれそうなら、少しでも食べてね。漣)
そう書かれたメモと一緒に、パンと美味しそうなスクランブルエッグが置かれていた。
漣はどこまでお人好しなの…!
食べれそうなら食べてって…
まるで、私が泣きすぎて食べれないのを分かっているみたいだ。
食べるにしても、まずは顔を洗って涙でぐしゃぐしゃな顔を何とかしよう。
洗面所に行き、冷たい水でパシャパシャと顔を洗った。
「ふぅ…」
一息ついて、鏡を見るた。
「ひどい顔…」
そこには、泣きすぎてパンパンに腫れた目の私が居た。
このまま仕事に行く訳には行かないなぁ…
ご飯を食べる前に、まず、この目をどうにかしないと。