その笑顔、私のモノ


「おはようございます。」

職場につき、自分のデスクに向かう。
既に来ていた梓にも挨拶をして、仕事をしようとしたんだけど…


「おは…ちょっ!どうしたの!?」


梓は私の顔を見た瞬間、びっくりしたように言った。
腫れ引いたし化粧で隠せたと思ったんだけどなぁ…


「ちょっとね…」


私は苦笑いしながら答える。
そんなに酷くはないと思うんだけど…
“ちょっと来て”と梓に手を引かれて非常階段に連れていかれた。
普段はここに人はほとんど来ない。
たまに梓と相談したりする時に使ってるだけだ。


「で?その目は…?」


梓は、私が話すまでここから動く気はないというような雰囲気だ。
梓には、漣と付き合っていることをまだ言っていないからどこから言おうか迷う。
私は、頭の中で言葉を整理をしてから口を開いた。


「えっと…付き合ってる人がいるんだけど…」


そこまで言って、相手が漣だと言おうか言わないか迷って言葉が止まる。


「あぁ、山本さんでしょ?」


梓が、当たり前のようにサラッと言った。
えっ…まって…
なんで知ってるの?
私言ってないよね…
もしかして、他の人も知ってる…?
自分の記憶を辿りながら考える。
戸惑っている私を見て、梓がなんで知っているのか理由を教えてくれた。

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