その笑顔、私のモノ
「ご、ごめん…。」
話して、少しすっきりはしたけど、涙が収まらなくて、私の背中を落ち着かせるようにさすっている梓に言う。
「とにかく、今は全部吐き出しちゃいな!」
明るくそう言い切った梓の言葉に、私はココロのどこかでせき止めていた気持ちを吐き出した。
「漣のばか!
なによ、1週間って…
有坂さんのこと好きじゃないって言ってたのに…
もう、わかんない…
あんなこと言うはずなかったのに…
漣は私のこともう嫌いなのかな…?
このまま別れるしかないのかな…」
初めは文句を言っていたのに、最後は不安を口に出しているだけだった。
私が気持ちを口に出している間、梓は何も言わずにただ聞いていてくれた。
今の私には、ただ聞いてくれる…それがすごくありがたかった。
言っているうちに、気持ちも落ち着いてきて涙も止まった。
「彩子…落ち着いた?」
梓が背中をさすっていた手を止めて、私の顔を覗き込むように言った。
こんな私と一緒に居て、話を聞いてくれる梓がいてくれてよかった。
本当に、こんなに良い同期に会えてよかったと改めて思う。