その笑顔、私のモノ
「一応…一応聞くけど、彩子は山本さんのこと好きなんだよね?」
梓は、恐る恐る確認するように聞いてきた。
そんなの考えるまでもない。
私は即答した。
「好き…」
改めて人前で言うと、相手が梓でも恥ずかしくなる。
私の返事を聞いた梓は、だったら…と声のトーンを上げて言った。
「なら、山本さんを信じて、1週間経つのを待ってみたら?
私が見たときは、彩子のことが好きすぎてしょうがない…というような感じだったし…」
好きすぎてしょうがないって…
確かに今回のことがある前は、私でもうっとおしいくらいに好きが伝わってきた。
不安は残っているけれど、梓に話して落ち着いたのもあるし、漣の言っていた1週間も今日が3日目だから…残り半分だ。
待って…みようかな…。
そしたら理由も聞いて、全部教えてもらおう。
「うん…。待ってみることにする。」
私がそう言うと、梓も安心したようにやさしい笑顔で、それがいいと頷いた。
ただ…
「1週間経つまで、梓の家に泊めてくれる?」
待つと決めたとはいえ、残りの日数を気まずいまま過ごすのは、耐えられない。
実家に帰るわけにはいかないし、遥人の家に泊めてもらうのも、仕事があるので無理だ。
梓以外に頼れる友達もこの辺に住んでないので、梓に断られたら家に帰るしかなくなる。