その笑顔、私のモノ


「彩子はそれでいいんだよね?」


梓は確認するように、私に聞いてきた。
それでいい。気まずいままだとたぶん漣は一緒に寝ないだろう。
ずっとソファーに追いやるわけにはいかない。
だから、わたしは梓の目を見てから深くうなずいた。


「いいよ。家においで。

ただし…!仲直りしたら、ちゃんと帰ること!いい?」


私と漣を仲直りさせるためだろう…。
梓は説得するように言った。
それが、きっと梓なりの優しさなんだろう。


「わかってる…」


私だって、できるなら早く元の関係に戻りたい。
自分にも言い聞かせるように、力強く答えた。

泣いたことで、崩れたメイクを直す。
腫れた目は少し冷やしたけど、あまり腫れは引かなかったのでメイクで隠す。


「じゃあ、仕事戻ろう。」


私が、直し終えてから梓と立ち上がる。
さすがにそろそろ戻らないと、今日の仕事が終わらない。

私と梓は急いで仕事に戻った。
戻った時漣と少し目があったけど、すぐにそらした。

漣が有坂さんと話していた時もあったけど、気にしないように、見ないようにしながら仕事を終えた。

帰る前、漣には一応、梓の家に泊まるとメールを入れておく。
その後は、ケータイの電源を落として、梓の家に行った。

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