その笑顔、私のモノ


いきなり過ぎて、私の頭がついて行かない。
軽くパニックになっていると、漣がまた口を開いた。


「彩子ちゃん…不安にさせてごめんね?
僕が好きなのは彩子ちゃんだけだから…。」


漣はそう言ってから、そばに来て私をギュッと抱きしめた。
漣の優しさと思いに、涙が溢れる。
あんなに泣いたのに、枯れることのない涙が不思議だ。
ただ、今度は嬉し涙なので良いとしよう。

私も漣をギュッっと抱きしめ返した。


「漣…ごめんね…。

好きぃ…」


私が変な勘違いさえしなければ、こんなことにならなかっただろう。
今思えば、漣はこんなに私を好きでいてくれていたのに。
どうして信じられなかったんだろう。
どんな事があっても、信じてさえいればこんなことにならなかったのに…。

漣に抱きしめられたことで、落ち着いてきた。
そして、冷静になった私の頭には、後悔が押し寄せてきた。


「彩子ちゃん?
…変なこと考えてるでしょ?」


漣が私の考えていることを見抜いたように、そう言った。

漣にはかなわないなぁ〜

でも、そんな漣だから、私は好きになったのかもしれない。
喧嘩しても、私の事を思ってくれていた漣だから…
だからこそ、私もその思いに答えたいと思う。

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