その笑顔、私のモノ

急いで支度を済ませて、部屋を出る。


「彩子ちゃん、準備できた?」


すでに着替え終わっていた漣が、部屋の外で待っていた。


「うん。」


ワクワクとドキドキで、胸がさっきからうるさいくらいに、脈打っている。


「じゃあ行こっか?」


そう言って、差し出された漣の手を握り家を出た。
車に乗り、漣の運転で目的地に向かう。
どこまで行くんだろう…。

車は高速に乗り、家からどんどん離れる。


「どこまで行くの?」


そんなに遠い場所なのかな…?
運転する漣の顔を見るのも好きだけど、どこまで行くのかは気になる。


「もう少し先だよ〜」


漣は楽しそうに、何故か鼻歌を歌いながら運転をしている。
そんな漣を見ると、私も楽しくなる。
車の中は優しい雰囲気に包まれていた。
たとえ、何も話していなくても、漣のそばに居るだけで幸せになれる。
こないだまで、ギクシャクしていたのなんて嘘みたいに一緒に居られる。
そんな漣だから、私は一緒に居たいと思うんだ。

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