その笑顔、私のモノ
「さぁ、着いたよ。」
漣はそう言って、車を停めた。
ここって…
窓の外を見ると、そこはジュエリーショップではなくて小さな教会だった。
「れ、漣…?ここ…」
ただ、見に来たって訳ではなさそうだ。
「じゃあ、彩子ちゃん…綺麗にしてもらいに行こっか。」
頭がついて行ってない私に、漣は楽しそうに言う。
わけが分からないまま、連れていかれて、気がついた時には、私は真っ白なドレスを着て立っていた。
「さぁ、奥様…旦那様がお待ちですよ?」
ドレスを着せてくれたスタッフさんがそう言って、扉の前に私を連れてきた。
奥様って…
そんなキャラじゃないんだけど…
そんな事を思っていると、結婚式の時に流れる、聞き覚えのある音が聞こえて来た。
パパパパーン、パパパパーン…
そして、キィーッと音を立てて、目の前の扉がゆっくり開いた。
眩しい光に目をつぶる。
慣れてきた頃、ゆっくり目を開けると…目の前には知ってる顔がいくつもあった。
「えっ…」
正面には、漣が優しい顔で待っている。
いつまでもここにいるわけには行けないので、私はゆっくり足を進めた。
「おめでとう〜!」
「彩子、綺麗だよ〜」
「幸せになってね!」
とか、たくさんの声が聞こえる。