その笑顔、私のモノ
梓や、会社の上司、有坂さんも居る。
それに、遥斗と私の両親も…
いつの間に…
祝福してくれている、みんなの声に嬉しさで自然と目が潤んでくる。
「彩子ちゃん…!」
漣の元にたどり着いた瞬間、抱きしめられた。
知り合いだけの小さな結婚式。
ささやかだけど、とっても気持ちの篭もったものだった。
「手出して?」
漣に言われて、左手を差し出す。
そんな私の手を取り、漣は薬指に薄ピンクで、シンプルだけど角度によってはキラッと輝く指輪をはめた。
「彩子ちゃん、お揃いだよ!」
そう言った、漣の指にも色違いの同じ指輪がはめてあった。
きっと、この指輪に決めるまで、沢山悩んだんだろう。
カッコイイ漣が、さらにかっこよく輝いて見えた。
「素敵…」
思わず口に出てしまう。
「彩子ちゃん…愛してる…」
「私も…漣のこと愛してます。」
みんなが周りにいるとか関係なく、今言いたいと思った。
漣に気持ちを伝えたいと思った。
そして、どちらからともなく自然と唇が重なった。
「一生傍に居てね…。」
そう言った漣の笑顔は、私にしか向けられない笑顔だった。
…end