その笑顔、私のモノ


「お待たせ。」


薄いピンクのバスローブを着て、リビングに戻る。
べつに、その辺にあるTシャツとかでいいんだけど…それを言ったら、漣がこれ着てと買ってきたのだ。

ちなみに、色違いでおそろいだったりする。


「うん。じゃあ僕も入ってくるね〜。
彩子ちゃん、ちゃんと髪乾かすんだよ?」


てっきり、私は逃げるようにお風呂に行ったから、落ち込んでいるか、待ちきれなくて抱きついてくるかどっちかだと思っていた。
なのに、ドライヤーとくしを私に渡して、お風呂に向かうものだから、拍子抜けする。

いっその事、このまま寝ちゃおうかとも思ったけれど、そんなことをしたら、明日1日拗ねているに違いない…

漣が出てくるのを待っている間、とくにやることも無いので、仕方なくドライヤーをコンセントに挿して、とりあえず髪を乾かす。
スイッチをつけると、ブォー!っと生ぬるい風が私の髪をさらった。

量多いし、長いから時間かかるんだよね…

普段はめんどくさくて、やらなかったり、途中までで諦めることが多い。
結局、最後には漣に見つかって乾かして貰うことがほとんどだけど…

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