双子の弟と幼なじみ
『幸せにげるよ?』
カーテンを勢いよく開けて、僕は部屋の主を起こそうと試みる。



「…ん、っ」


「起きて、みぃ」




朝日に照らされて、寝返りを打った彼女はミルクティー色の長い髪をさらりと流してうつ伏せになった。



「…やだ。今日は学校行かない」


「ダーメ。早く起きな」


「んーんっ」




ふとんをめくろうとすると必死に抵抗して、彼女の目がうっすら開く。


僕はそれを見て、無理やり彼女の腕を引っ張って起こす。


もう、何回目だろうか、朝からこの問答をするのは。




「やーだ…。眠いもん…」


「昨日何時まで本読んでたの?」


「…12時半」


「早く寝なさいって言ってるでしょ?」


「…もうちょっとで読み終わりそうだったんだもん」




言い訳じみた言葉を並べて目をこする目の前の美少女。


頭はボサボサで、寝起きだからちょっとだけ目は腫れているけど。


いつもより少し低い寝起きの声が、不機嫌っぽさを加速させる。




「みぃ。遅刻しちゃうでしょ。ほら、ご飯できたから」


「…ん、ご飯」
< 1 / 82 >

この作品をシェア

pagetop